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中川清志院長の歯を守るための言いたい放題⑥
今回は最終的な被せものについてです。
ずっと昔、金の相場が比較的落ち着いていた頃は、奥歯の場合は咬み心地を考慮してゴールドで作っていた時代がありました。
現代のように壊れにくいセラミックが無かったことが一番の理由なのですが。
金は適度に柔らかい金属なので咬んだ時に優しく感じますし、口腔内安定性がよく,アレルギーも少なく、作製し易い材質でした。
また一部ですが、お口の中にゴールドを入れることに満足感を覚える方もいました。
流石に今は無いですが、2~30年程前なら自身の奥歯に金冠を被せたり前歯に金を巻くといった治療をしていた時期もありましたね。
勿論、現在でも金で冠を作ることは容易なのですが、先程も書いた通り金の相場がかなり高くなっているので、金属の塊になってしまうインプラントの被せもの(上部構造といいます)を金で作ってしまうとかなりの金額になってしまいます。
それ故ほとんどのケースで使用していたのはセラミックでした。そして今は、ジルコニアと言って人工ダイヤモンドで作製するのが一般的です。
ただこの素材も硬くて壊れなくて変色もしないので非常に良いのですが、少し硬すぎるので嚙み合わせの調整はかなりシビアにしないといけません。
嚙み合わせが強すぎると、音が気になったり顎が疲れたり、場合によっては咬む相手側の歯が痛くなったりします。
以前上部構造を入れて2~3日して、「先生、インプラントは痛くないのですが、反対側の歯が少し痛いです。」と言って慌てて連絡してくる方がいらっしゃいましたが、これは反対側の歯が永く使われていなかった為です。
久しぶりにハードな運動をすると、翌日やそのまた翌日に筋肉痛や関節痛がでたりしますが、それと同じようなもので基本的には問題はありません。
こうして最終的な被せものが入ってやっと治療終了となりますが、先程も書いた通り嚙み合わせの調整はとても重要です。
医院の予約をしっかり守ってチェックとメンテナンスを継続していただきたいですね。
さて、皆様の気になる費用の方ですが、インプラント本体に被せるものとそれ以外のものとでは当然費用は違っているのが当たり前で、○○万円×歯の本数 で一律な表示をされている場合は注意が必要です。
インプラント本体のジルコニアが15~20万円で、それ以外のポンティックの部分が10万円前後に費用であれば、良心的で真面目に治療していると考えられます。
従って今まで書いてきた事をまとめますと、基本的な処置のみのインプラント治療の場合で総額30万円~40万円ぐらいが妥当と考えられます。
ただ何度も言いますが、医院の立地条件によって治療そのものにかかるコストに様々な雑費が上乗せされますので、結果的に費用は高くなってきます。
もちろん今までお世話になってきた医院や先生を信頼して、提示される金額を受け入れられるのであれば、それはそれで構わないと思います。
美術品と同じように、高価な事に価値を認める方もいらっしゃいますし、TVなどマスコミに出ている先生に高くてもかまわないから治療して欲しいと考える方もいます。
私が言いたいのは、先ず適正価格というものを知っていただいて、そのうえで利便性や医院との関わり方、執刀医の経験や技術力等々を考えてその上で、何処で治療をするかを決めていただきたいということです。
技術力や経験や自信が無いのにインプラント治療をうたい、来られた患者さんにCT撮影もしないで、「あなたは骨が少ないのでインプラント治療は出来ません。特別な義歯を作りましょう。」と言って高額な義歯を強引に作っている歯科医院は数多くあります。
自院に来られた患者さんを失わないで、自院で利益を出そうとするからそんな行動にでるのです。
見せかけの優しさや、人当たりの良さなどに決して騙されないで下さい、そして無駄なお金を使わないでいただきたいです。
本当に真摯に治療する先生なら、自院に利益が無かろうとも、自分が信頼する先生を必ず紹介するはずです。
そしてインプラント治療は歯が入ってそれでおしまいではなく、維持していく為に定期的なメンテナンスは必要不可欠なのですが、ここにも問題が潜んでいます。
それは次回にお話したいと思います。